Major前夜のマッププール台帳:Ban/Pick順序に隠されたラウンド予算

2026年10月9日 00:00:07

BO1とBO3のBan/Pick順序が、練習週のリズム、ユーティリティ貯蓄、ラウンド予算をどう圧縮するかをプロ視点で分解。初Ban、4手目、決定戦の最初のフルバイが勝敗を左右する理由を解説する。

導入

Majorが始まる前、コーチ陣の机の上に並んでいるのは七枚のマップではない。競技形式によって細かく刻まれたスケジュールだ。BO1のグループステージ、BO3のプレーオフ、決定戦のマッププール論理。この三つを重ねて初めて、本当の準備課題が見えてくる。多くのファンは選手のエイムを見るが、マッププールのBan/Pick順序そのものがチームのために引き算をしている。引かれるのは練習時間、ユーティリティの貯蓄、そしてライブでのコミュニケーションコストだ。

一、初Banは切り札であり、礼儀ではない

グループステージBO1のBan/Pickは1-1-1-1-1-1の交互制で、BO3の1-1-1-1-1-1-1構造とは全く異なる。BO1では、先にBanする側は最も触れたくないマップを捨てるのが普通だが、本当に情報量があるのは二手目だ。

プロチームの練習週は通常三日周期で配分される。一日はデフォルトマップ、一日は対策マップ、一日は緊急修正だ。初Banが、自分の勝率は悪くないが相手が直近三週間触っていないマップに落ちたなら、コーチ陣は相手の準備深度に賭けている。逆に、同じチームが二試合連続でBO1の初Banに同じマップを置くなら、そのマップのユーティリティ貯蓄がメタより遅れているとほぼ断定できる。打てないのではない。打つ余裕がないのだ。

準備ノートに最もよく出る一文はこうだ。「このマップは打てる。ただし一回打つと二時間のコミュニケーションコストがかかる」。グループステージは密度が高い。二時間はその夜の復習時間の全部かもしれない。だから初Banは戦術選択ではなく、時間予算の選択であることが多い。

二、マッププールの「プール化」論理:なぜ決定戦はいつも変わるのか

MajorのマッププールはValveと大会主催者が共同で確認するが、チームが実際に準備するのは「プール化されたサブセット」だ。どういうことか。七枚のうち、各チームが本当に習熟しているのは通常四、五枚。残り二枚は「打てるが練習しない」フォールバックマップだ。

BO3のBan/Pick順序では、三手目と四手目が鍵になる。先にBanする側が二手目で勝率55%のマップを放出すれば、相手はほぼ確実に三手目でそれをBanする。恐れているからではない。あなたを楽にさせたくないからだ。本当の熟練者は四手目で「マップ交換」をする。中程度のマップのBan権を使い、相手の強マップのPick権を買い戻すのだ。

決定戦(decider)はBO3では通常残りマップだが、一部の形式では別途Banフェーズがある。これが一つの現象を生む。決定戦の勝率データはグループステージより散らばりやすい。理由は単純だ。決定戦は双方が十分に準備していないマップであり、問われるのはライブのデフォルトとクラッチのコミュニケーションであって、ユーティリティの教科書ではない。

だから準備ノートには「決定戦コンティンジェンシー」という欄が必ずある。中身は通常三行だけ。デフォルトをどう開くか、最初のフルバイラウンドをどう打つか、三連続で落としたらいつタイムアウトを取るか。この三行がMajorでどこまで行けるかを決めることが多い。

三、選手の準備ノート:「マップ練」から「ラウンド練」へ

選手視点の準備はコーチ視点とは違う。コーチはBan/Pick確率を見る。選手はラウンド予算を見る。

典型的な準備ノートはマップを15のラウンドタイプに分解する。ピストルラウンド、フォースバイ、ハーフバイ、フルバイデフォルト、フルバイ高速実行、1v1クラッチ、2v2クラッチ、エコラウンド、マッチポイント。各ラウンドタイプに「第一方案」と「第二方案」を用意する。Major前の二週間、選手が練習するのはマップ全体ではない。これらのラウンドタイプの切り替え速度だ。

これはよくある現象を説明する。BO1でまるで別のチームになったように見えるチームがある。BO1はラウンド数が少なく、許容誤差が低いため、ラウンドタイプの切り替え頻度がむしろ高くなる。BO3では試行錯誤の時間がある。BO1にはない。

マッププールの台帳は最終的に選手の手元で一文になる。このマップで、コーチのノートを見ずに最初の五ラウンドを打ち切れるか。打ち切れるなら習熟。打ち切れないならフォールバック。Majorの差は、しばしばこの五ラウンドの中にある。

結語

Majorのマッププールは七枚のマップ名ではない。Ban/Pick順序、練習週のリズム、ラウンド予算によって共に圧縮された準備台帳だ。試合を見るときは、まず初Ban、次に四手目、最後に決定戦の最初のフルバイがどう開くかを見てほしい。この三つの帳尻が合えば、勝敗はほぼ読める。